「いたっ」


「美生にそんな顔は似合わないから」





そう言って千景は満足そうに笑顔を漏らしていた。





…私の大好きな笑顔だ。





千景の笑顔を見た途端、さっきまでの暗い気持ちはどこへやら。





一瞬で気持ちが晴れ、笑顔が伝染するように、私まで笑ってしまっていた。





「もうっデコピンしなくてもいいのにっ」





こんな些細なやり取りがとても幸せだった。





こうやって千景と笑っていられるだけで満足だ。





それ以上、望むものなんてないよ。





「今日の帰り、久しぶりに四人で帰るか。星が聞いてほしいことあるってうるさくって」


「いいねっはるちゃんも今日は部活ないって言ってたし」


「どうせ星のことだからくだらない話だと思うんだけどな」





千景はそう言ってケラケラと笑っていた。