独り占めしてもいいですか…?【完】

「おう。って、雨止んだ?」


「あ、そう言われてみれば」





空を見上げると、先ほどまで空を覆っていた雨雲はどこかに消え去っていた。





「雨止んでよかったな。傘、ありがとう」





千景は傘を綺麗にたたむと、私に渡した。





「いえいえっどういたしまして」





傘をしまったことで、私と千景の距離は自然と空いた。





さっきまで肩が触れ合うくらいの距離にいたのかと思うと、なんだか恥ずかしくなってきた。





もう少し、雨降ってくれたらなぁ…





…なんてね。





そして千景は私を家まで送り届けてくれると、自分の家へと帰って行った。









…やっぱり千景が好き。





優しい千景だけが好き。





この気持ちが変わることって絶対ないかも。





徐々に小さくなる千景の後姿を見送りながら、そんなことを思ったのだった。