夕方。僕は、親から彼女がいじめを受けて山梨に引っ越すことになった、と聞いて驚いた。幼馴染だったから彼女のことは何でも知ってると思っていた。仲も良い友達もいたように見え、「大丈夫」と安心しきっていのに。

何も考えず、彼女の家に全力で走っていった。長袖だったけど風が寒く感じられた。

ドアホンも押さず彼女の家ののドアを開けた。幸いにもドアに鍵はかかっておらず、そのまま玄関に倒れこんだ。

「陵くん?何でここに…?」

彼女は驚いた顔をしながら近寄ってきた。僕はそのまま立ち上がると、彼女の肩を掴んで叫んだ。

「おい!どういうことなんだよ由紀?引っ越すって⁉︎一緒の高校行くって約束したじゃんかよ!何でいじめられてるのに言わなかったんだよ⁉︎」

声が震えて、変になってしまったが彼女は理解してくれた。

「ごめん。陵くんにずっと黙ってて…。でも!でも…自分のことだから自分で何とかしようって思ってて。私、陵くんに頼ってばっかりだったから。」

そう言われ、僕は言葉を返せなかった。
少しばかりの沈黙が続き、僕は我に返った。

「ごめん急に入り込んで。もう帰るから。」

そういって僕は家に帰った。彼女の部屋に積まれた段ボール見えていた。

それから2日後彼女はこの街からいなくなった。