6時50分。
私は近所の激安カラオケ店に向かって自転車を走らせていた。
さっむ。
片手をハンドルから離し、さっき開封したばかりのカイロをポケットから取りだし、握りしめる。
まだそんなに暖かくない。
カイロをポケットに戻して、またハンドルを握った。
チリンチリン♪
突然後ろから、自転車のベルの音が聞こえた。
邪魔かな、と思い、道の脇に避けたら、
「ふーうっ!」
と呼ばれた。
振り返ると、相澤と坂本と原田がいた。
うわ、会いたくなかったのに。
まあ、いずれ会うんだけど。
「あ、モエ!マリとマイも一緒なんだ!」
私はあえていつも本人達の前だけで使っているあだ名で呼ぶ。ホント、バカげてる。
「やっほぉ、颯~!真里菜はねぇ、たまたまそこでモエとマイがいるのをみつけてー、一緒にきたんだぁ~」
間延びした声で坂本が答える。
だが、こんな坂本でもこのグループのNo.3にいるのだ。
坂本真里菜が本気を出したら怖いなんてもんじゃない。
坂本は、その誰もが認める美貌を利用し、男どもから金をまくし立てるのを得意としている。
小柄ですばしっこい原田は万引きの常習犯で、よく私たちにお菓子などを調達してくれる、坂本と同じくNo.3だ。
原田が万引きで手に入れたお菓子を食べるとき、少し良心が痛むけど、食べないといじめられかねないので少しだけ食べている。
相澤たちの会話を適当にうんうんと頷きながら走っていると、ようやくカラオケ店に到着した。
駐輪場には、数台の自転車が止まっていた。
「あ、ケンくんたちもう来てんのかな?」
原田だけは里中のことをケンくんと呼んでいる。
中学校から一緒だったらしい。
さあどうだろね、と答え、私も自転車を止めた。
カギを抜き、カイロの入っていない方のポケットに突っ込む。
「わー、寒い寒い!早く中入ろっ!」
相澤がいち早く入り口に走っていった。
その後に、坂本、原田と続く。
私ものろのろとついていった。
ウィーンと音を立て、自動ドアが開いた。
その時だった。
私の後ろの道路で、キキーッと高く鋭い音が響いた。
何事かと思い、振り返った。
いや、正確には、振り返ろうとしただけだった。
気付いたら、私の身体は鈍い衝撃と共に宙を舞い、スローモーションの如くゆっくりと、弾き飛ばされた。
意識を失う直前私がみたものは、たくさんの星が瞬く、藍色のソラだった。
私は近所の激安カラオケ店に向かって自転車を走らせていた。
さっむ。
片手をハンドルから離し、さっき開封したばかりのカイロをポケットから取りだし、握りしめる。
まだそんなに暖かくない。
カイロをポケットに戻して、またハンドルを握った。
チリンチリン♪
突然後ろから、自転車のベルの音が聞こえた。
邪魔かな、と思い、道の脇に避けたら、
「ふーうっ!」
と呼ばれた。
振り返ると、相澤と坂本と原田がいた。
うわ、会いたくなかったのに。
まあ、いずれ会うんだけど。
「あ、モエ!マリとマイも一緒なんだ!」
私はあえていつも本人達の前だけで使っているあだ名で呼ぶ。ホント、バカげてる。
「やっほぉ、颯~!真里菜はねぇ、たまたまそこでモエとマイがいるのをみつけてー、一緒にきたんだぁ~」
間延びした声で坂本が答える。
だが、こんな坂本でもこのグループのNo.3にいるのだ。
坂本真里菜が本気を出したら怖いなんてもんじゃない。
坂本は、その誰もが認める美貌を利用し、男どもから金をまくし立てるのを得意としている。
小柄ですばしっこい原田は万引きの常習犯で、よく私たちにお菓子などを調達してくれる、坂本と同じくNo.3だ。
原田が万引きで手に入れたお菓子を食べるとき、少し良心が痛むけど、食べないといじめられかねないので少しだけ食べている。
相澤たちの会話を適当にうんうんと頷きながら走っていると、ようやくカラオケ店に到着した。
駐輪場には、数台の自転車が止まっていた。
「あ、ケンくんたちもう来てんのかな?」
原田だけは里中のことをケンくんと呼んでいる。
中学校から一緒だったらしい。
さあどうだろね、と答え、私も自転車を止めた。
カギを抜き、カイロの入っていない方のポケットに突っ込む。
「わー、寒い寒い!早く中入ろっ!」
相澤がいち早く入り口に走っていった。
その後に、坂本、原田と続く。
私ものろのろとついていった。
ウィーンと音を立て、自動ドアが開いた。
その時だった。
私の後ろの道路で、キキーッと高く鋭い音が響いた。
何事かと思い、振り返った。
いや、正確には、振り返ろうとしただけだった。
気付いたら、私の身体は鈍い衝撃と共に宙を舞い、スローモーションの如くゆっくりと、弾き飛ばされた。
意識を失う直前私がみたものは、たくさんの星が瞬く、藍色のソラだった。


