美術室の戸をノックすると、中から、「どうぞ」と声が聞こえた。
そーっと戸を開けて中に入ると、数人の美術部員が石膏像を囲んで、デッサンをしていた。
「あのー、神崎琳音はいますか?」
と私が聞くと、誰も顔をあげなかったが、一番奥にいたセミロングの女の子が準備室の扉を指さした。
きっと、あっちにいるということなのだろう。
「ありがとうございます。」
私は、床に散らばる絵の具や筆を避けながら、準備室に入った。
準備室には、たくさんの石膏像や、部員の過去の作品などが置かれていて、独特な匂いがした。
さらに奥に行くと、神崎がいた。
「神崎さん。」
私が声をかけると、神崎は驚いた様子で振り返った。
「あ、ああ...霧崎さん。何ですか...?」
その手には、ペインティングナイフが握られていた。
作業中だったのだろう。
「相澤萌菜からのお誘いなんだけど。」
「えっ...でも、今日は用事があって...」
彼女のペインティングナイフを握る手に力がこもる。
「いいの?行かなくても。あたしは別に神崎さんが来なくてもカンケーないからいいけど、あんたが心配だから言ってやってんの。あたしだってめんどくさいから行きなくないけどさあ、相澤、何するか分かんないし。」
しまった。つい言い方がキツくなってしまった。
「そう、ですよね...。相澤さんに行くって伝えておいてもらってもいいですか...?部活、抜けられないので...」
うなだれる彼女を見ていると、こっちが申し訳なくなる。
私は、分かったと頷き、美術室をあとにした。
そーっと戸を開けて中に入ると、数人の美術部員が石膏像を囲んで、デッサンをしていた。
「あのー、神崎琳音はいますか?」
と私が聞くと、誰も顔をあげなかったが、一番奥にいたセミロングの女の子が準備室の扉を指さした。
きっと、あっちにいるということなのだろう。
「ありがとうございます。」
私は、床に散らばる絵の具や筆を避けながら、準備室に入った。
準備室には、たくさんの石膏像や、部員の過去の作品などが置かれていて、独特な匂いがした。
さらに奥に行くと、神崎がいた。
「神崎さん。」
私が声をかけると、神崎は驚いた様子で振り返った。
「あ、ああ...霧崎さん。何ですか...?」
その手には、ペインティングナイフが握られていた。
作業中だったのだろう。
「相澤萌菜からのお誘いなんだけど。」
「えっ...でも、今日は用事があって...」
彼女のペインティングナイフを握る手に力がこもる。
「いいの?行かなくても。あたしは別に神崎さんが来なくてもカンケーないからいいけど、あんたが心配だから言ってやってんの。あたしだってめんどくさいから行きなくないけどさあ、相澤、何するか分かんないし。」
しまった。つい言い方がキツくなってしまった。
「そう、ですよね...。相澤さんに行くって伝えておいてもらってもいいですか...?部活、抜けられないので...」
うなだれる彼女を見ていると、こっちが申し訳なくなる。
私は、分かったと頷き、美術室をあとにした。


