「ただいまー、お風呂入ってきたよー!!ねぇ、綺麗になったね、葵ちゃん!」

葵は言葉は発しないが、コクコクと頷いている

「葵、こっちにおいで。髪、拭いてやるから」

タオルを持った手を広げて待ってると、さっきのようにテクテクとこっちに歩いてくる
さっきまでボサボサだった黒い髪はサラサラになって、なんとなく汚れていた肌は透き通るような白になっていた
髪を拭いてあげているうちに、疲れてしまったのか葵はウトウトと夢の世界に入っていた


すっかり眠ってしまった葵をベッドに寝かせていると

「圭、ちょっといい?」

「あぁ、何?」

「葵ちゃん、すごい傷だったわよ。顔はまだきれいな方で、首から下は無数にあったし、お湯はもちろん、洋服を脱ぐのでさえも痛そうだったわ」

「やっぱりか。今日連れていくつもりだったが、寝てしまったから明日には病院に連れていこうと思う」

「早いほうがいいと思うよ、検査だけでもとりあえず」

「あぁ、分かってる」

「じゃあ、私からはそれだけ。簡単に調べておくからら、葵ちゃんの家のこと」

「ありがとう、頼む」

きっと葵の家は何かある
葵を追いかけてきていた父親はパッと見、怪しいやつには見えなかったし、薬をやってるようにも見えなかった。
逆にどこかの社長をしてると言われても疑わないくらいだ
色々考えているうちに段々眠くなってきたので、葵の横で眠ることにした