俺は黒澤圭(くろさわ けい)。
黒澤組の若頭をしている。
夜になれば、黒いスーツに着替えて、繁華街の見回りに行く。
ヤクザだからといって、人をいじめるだけが仕事じゃない、街の治安を守るのだって大事な仕事だ。
冬になり、繁華街はいつにも増して賑わっている。
屋台などを出す店も増えてきたのだろう。
人の波に逆らいながら見回りをしていく。
飲み屋街を抜けようとする時、前から小さな何かがぶつかってきた。
よく見ると、小学生くらいの女の子だ。
女の子は冬なのに驚くほどの薄着で、しかも裸足だった。

「おっと、お嬢ちゃん大丈夫か?」

「っ…。」

女の子は声も出さずに俺を見つめている。

「ん?どうした?」

まぁ、いきなりこんなやつに声をかけられたら怖いよな、確かに。

「お前、お父さんやお母さんとはぐれたのか??暗くなってきてるから早めに見つけろよ」

俺が話してる間も女の子はキョロキョロして、周りを警戒してるような…

「どうした、両親が見つからないのか?」

「葵(あおい)ー!!帰っておいでー」

「っ…。ぁ、っっ…」

向こうから40代くらいの男が大声を出しながらこっちに手を振っている

「お、お父さんか?迎えに来てくれたんじゃないのか?」

そういって女の子を見ると、息が荒く小さく震えている

「お前、もしかして…。よし、こっちに来い」

俺はそのまま、女の子を抱えて帰ることにした