簡単な初級魔法も使えず、魔法文字も読めない。
おまけに容姿はぼさぼさの黒髪に、顔を覆い隠す位大きな眼鏡。
俺を落ち零れと認識するには十分な要素だ。
サボり魔でもあるし。

先生も最初は更生させようとしたけど、全く効果無しで断念。
生徒も始めは虐めをしようとしたけど、全く(以下同文)。
ってなわけで俺は落ち零れと無気力人間として認識されている。
一部生徒間では変人とも言われているらしい。


ホント失礼。
まぁでもシールドに入るよう言ってくれたのは、それなりの配慮でもあるんだし。


そう考えて、ゆっくりと進む。
粗方の生徒はシールド内へ避難し、残りは生徒会だけとなっていた。


「そこの君!早く入りなさい!」


生徒会長さんが俺に呼びかけてくる。

途端に湧きあがる悲鳴。


うぜってぇ。


そりゃ、自分が大好きな人がこんな気持ち悪い奴に声かけたら嫌かも知んないけどさ。
でもこんな緊急時によくそんな悲鳴上げられるねぇ。
半ば関心。
半ば呆れ。

仕方ないからシールドの方へ向かっていく。
歩調は変えないけど。

そんな俺の態度にまた悲鳴があがる。

だけどその悲鳴の中に違った感じのものを聞き取った。
本当に助けを求めている悲鳴。
もはや声になっておらず息だけが漏れている。