「知ってるで」
平静を保ちつつ、言うと


「私の彼氏がな、中内春樹と同じ中学やったらしい」


「ええええーーー!!」


あたしは思わずなかなかの声量を発していた。

梨花の拳がコツンとあたしの頭のてっぺんを小突く。



「どうしたんすか?」


あたしの左横にいた康介がすかさず口を挟んできた。


「いや、あんたには関係ない」
バシッと切り捨てると、ひど〜〜と言って康介は前にきたお客さんのかごから手際よく商品を売っていく。

康介は最近入ってきた新人で、学年は一個下。高校1年生だ。

のわりに、なんかちょっとませたところがあって、バイト先の店長なんてあたしの方が年下に見えるって言ってきかないもんね。

なんとも失礼な話だけど、でもこいつの笑顔はこのなんにも起こらない日々のちょっとした癒しでもあったりする。