「そんなことより、毬は龍星殿に聞きたいことがあるんじゃなくて?」
千は話題を変えてみる。
……聞きたいこと?
毬は動揺を抱えた頭を巡らせた。
「八つの尻尾を持つキツネ、ご存知ですか?」
「毬、それは何のお話?」
てっきり、恋の話が始まると思い込んでいた千は当てが外れたがっかり感を隠さずに問う。
「何のお話ですか?」
龍星も問う。
「今日、キツネ……」
そこまで言って、毬は雅之の言葉を思い出した。
『龍星にはそんな風に答えちゃ駄目だ』
「キツネの話を耳にして」
慌てて言葉をすり替える。
誰が見てもバレバレの嘘だ。
「龍なら知ってるかなあと思ったんだけど、また、後で聞けばいっか」
毬は敬語も忘れてそう言うと、ニコリとよそ行きの笑顔を浮かべた。
「お姉様、急な話は特にございませんわ」
失礼します、と、丁寧に頭を下げ、毬は御所を後にした。
千は話題を変えてみる。
……聞きたいこと?
毬は動揺を抱えた頭を巡らせた。
「八つの尻尾を持つキツネ、ご存知ですか?」
「毬、それは何のお話?」
てっきり、恋の話が始まると思い込んでいた千は当てが外れたがっかり感を隠さずに問う。
「何のお話ですか?」
龍星も問う。
「今日、キツネ……」
そこまで言って、毬は雅之の言葉を思い出した。
『龍星にはそんな風に答えちゃ駄目だ』
「キツネの話を耳にして」
慌てて言葉をすり替える。
誰が見てもバレバレの嘘だ。
「龍なら知ってるかなあと思ったんだけど、また、後で聞けばいっか」
毬は敬語も忘れてそう言うと、ニコリとよそ行きの笑顔を浮かべた。
「お姉様、急な話は特にございませんわ」
失礼します、と、丁寧に頭を下げ、毬は御所を後にした。


