「下心……って、まさかっ」
「あら、そんなに驚くことかしら?」
「だって。
龍は私のことが心配で何も手につかなくなるから、左大臣家に帰れって言ったのよ」
「あらあら。
それは恋の告白以外のなにものでもないと思うけど?」
……
………
…………!!
毬は、千にあっけらかんと言われて、動揺のあまり黙りこくってしまった。
遠くからざわざわと色めきたつ声がする。
「ほら、噂をすればなんとやらよ。このざわめきは龍星殿ね」
「え?帝じゃなくて?」
「あら、皆、帝には見馴れているもの。
遠原殿が来られる時も騒めくのだけれど、龍星殿は格別なのよ。
容姿端麗だし、あの冷たく落ち着いた表情は却って女心をくすぐるものよ」
ざわめきは波のように大きくなり、帝と龍星が入ってきた。
「姉妹二人盛り上がっているようだね」
帝の声に千が人払いして御簾をあげる。
「もちろんですわ」
……トクン、と、毬の心臓が高鳴る。
こんな公の場の龍星など見たことがない。
いつもより、一際冷めた表情でとても遠い人に思えた。
なのに。
龍星は毬を見た途端、とろけるような甘い笑みを浮かべたのだ。
毬は思わず耳まで朱に染める。
「あら、そんなに驚くことかしら?」
「だって。
龍は私のことが心配で何も手につかなくなるから、左大臣家に帰れって言ったのよ」
「あらあら。
それは恋の告白以外のなにものでもないと思うけど?」
……
………
…………!!
毬は、千にあっけらかんと言われて、動揺のあまり黙りこくってしまった。
遠くからざわざわと色めきたつ声がする。
「ほら、噂をすればなんとやらよ。このざわめきは龍星殿ね」
「え?帝じゃなくて?」
「あら、皆、帝には見馴れているもの。
遠原殿が来られる時も騒めくのだけれど、龍星殿は格別なのよ。
容姿端麗だし、あの冷たく落ち着いた表情は却って女心をくすぐるものよ」
ざわめきは波のように大きくなり、帝と龍星が入ってきた。
「姉妹二人盛り上がっているようだね」
帝の声に千が人払いして御簾をあげる。
「もちろんですわ」
……トクン、と、毬の心臓が高鳴る。
こんな公の場の龍星など見たことがない。
いつもより、一際冷めた表情でとても遠い人に思えた。
なのに。
龍星は毬を見た途端、とろけるような甘い笑みを浮かべたのだ。
毬は思わず耳まで朱に染める。


