「あなたの息子さん、ですよね」
毬が問う。
「し、知りませんっ」
律は感情的な金切り声をあげた。
「真竜、もういいよ」
太一の声がして、毬は弾かれたように顔をあげた。
龍星は深紅の唇を噛みしめ、懐に手を入れ数珠を掴んだ。
「太一、戻ってきたのか?」
毬が驚いて立ち上がり近付こうとする。
「駄目だ」
龍星が真顔で毬の手を掴む。
彼は凄腕の陰陽師なのだ。霊を滅したのは間違いない。
一度滅した霊が再来するなんて、死んだ人間が生き返るのと同じくらいありえない。
あり得るとしたら、それは……
「太一、太一がいるの?」
毬と龍星のやりとりを不思議そうに見ていた律が、見えない姿を探して空(くう)を掴む。
「やっぱり息子じゃないか」
律の様子を見て、毬が呟いた。
毬が問う。
「し、知りませんっ」
律は感情的な金切り声をあげた。
「真竜、もういいよ」
太一の声がして、毬は弾かれたように顔をあげた。
龍星は深紅の唇を噛みしめ、懐に手を入れ数珠を掴んだ。
「太一、戻ってきたのか?」
毬が驚いて立ち上がり近付こうとする。
「駄目だ」
龍星が真顔で毬の手を掴む。
彼は凄腕の陰陽師なのだ。霊を滅したのは間違いない。
一度滅した霊が再来するなんて、死んだ人間が生き返るのと同じくらいありえない。
あり得るとしたら、それは……
「太一、太一がいるの?」
毬と龍星のやりとりを不思議そうに見ていた律が、見えない姿を探して空(くう)を掴む。
「やっぱり息子じゃないか」
律の様子を見て、毬が呟いた。


