現場に駆け付けた龍星は、男の死体を見て唖然とした。
腹は掻き切られ、顔は抉られ、とても目の当てられる様ではない。
寝室は血の匂いが充満していた。
「犯人は?」
鋭い声で女を詰問する。
「だから、霊の仕業だって、」
女は目を泳がせながら言う。
龍星はその肩を乱暴に掴み、冷たい眼差しで女を睨んだ。
「どんな霊だって?」
「ヒイッ」
冷たい殺気に気圧され、女は背中に汗を垂らす。
「龍星」
玄関から親友の声がした。
龍星は部屋を出て、一緒に来た毬を捕まえた。彼女が不用意にあの死体を見ないように。
そして雅之に、殺人事件のため検非違使に連絡するよう頼んだ。
「俺は何をすれば?」
毬が龍星の腕の中で藻掻きながら問う。
龍星はため息をつく。
「出来れば、うちでゆっくりしていて欲しかった」
「駄目だよ。俺だって龍の役に立ちたい。
ただのお姫様ではいたくないんだ」
真剣な眼差しが龍星を射抜く。無理に止めたら暴走しそうな、熱を帯びた瞳で。
腹は掻き切られ、顔は抉られ、とても目の当てられる様ではない。
寝室は血の匂いが充満していた。
「犯人は?」
鋭い声で女を詰問する。
「だから、霊の仕業だって、」
女は目を泳がせながら言う。
龍星はその肩を乱暴に掴み、冷たい眼差しで女を睨んだ。
「どんな霊だって?」
「ヒイッ」
冷たい殺気に気圧され、女は背中に汗を垂らす。
「龍星」
玄関から親友の声がした。
龍星は部屋を出て、一緒に来た毬を捕まえた。彼女が不用意にあの死体を見ないように。
そして雅之に、殺人事件のため検非違使に連絡するよう頼んだ。
「俺は何をすれば?」
毬が龍星の腕の中で藻掻きながら問う。
龍星はため息をつく。
「出来れば、うちでゆっくりしていて欲しかった」
「駄目だよ。俺だって龍の役に立ちたい。
ただのお姫様ではいたくないんだ」
真剣な眼差しが龍星を射抜く。無理に止めたら暴走しそうな、熱を帯びた瞳で。


