それから、少し離れたところにいる龍星に視線を向ける。
「龍」
涙で濡れた、甘い声でその名を呼ぶ。
呼ばれた龍星はその瞳に切なさと優しさを宿して毬を見た。
「太一は、もう、淋しくないかな。
家に戻れないって泣いてない?」
話している途中で耐え切れず涙が零れる。
「……って、だって。
太一は人でなかったのかもしれないけど、確かに僕の手を掴んだ。
本当にここに居たんだよ。
それで、独りぼっちで泣いてたんだ。
僕と、大人になっても友達でいるって、そう言ったんだ」
太一を思い出すと、自然言葉遣いも男の子になってしまう。
毬は自分の手を見た。確かに繋いだ、その手を。
夢幻でした、だから忘れて下さいね。
そんな言葉で騙されない。
そのくらい、現実的な存在感を持って、ここにいたのだ。
龍星はぎゅっと、彼女の手を掴む。
空を掴もうとしている、その小さな手を。
「本当に、ここに、いたんだ」
毬はかみ締めるように言った。
いつもより低い声で。
「龍」
涙で濡れた、甘い声でその名を呼ぶ。
呼ばれた龍星はその瞳に切なさと優しさを宿して毬を見た。
「太一は、もう、淋しくないかな。
家に戻れないって泣いてない?」
話している途中で耐え切れず涙が零れる。
「……って、だって。
太一は人でなかったのかもしれないけど、確かに僕の手を掴んだ。
本当にここに居たんだよ。
それで、独りぼっちで泣いてたんだ。
僕と、大人になっても友達でいるって、そう言ったんだ」
太一を思い出すと、自然言葉遣いも男の子になってしまう。
毬は自分の手を見た。確かに繋いだ、その手を。
夢幻でした、だから忘れて下さいね。
そんな言葉で騙されない。
そのくらい、現実的な存在感を持って、ここにいたのだ。
龍星はぎゅっと、彼女の手を掴む。
空を掴もうとしている、その小さな手を。
「本当に、ここに、いたんだ」
毬はかみ締めるように言った。
いつもより低い声で。


