蛍が浮かぶ頃 【砂糖菓子より甘い恋2】

龍星も毬の笑顔につられて笑い、そっと濡れた頬に唇を落とした。

毬の耳まで朱に染まる。

「あの、えっと」

甘さの漂う沈黙に耐え切れず、口を開いたのは毬のほうだ。

「私はどうしてこうも倒れるの?」

「それは俺も知りたいな。
 毬は何をしているときに倒れるの?
 さっきは何をしていたのかな?」

龍星が優しく問う。

「友達と遊んでたの。おうちが無くて困ってたから。
 私が淋しいときに、雅之が馬に乗せてくれて元気になったから、彼にもそうしてあげたら良いと思って」

「雅之は昼間に連れて行ってくれたんでしょう?
 夜の外出は感心しないな」

「ごめんね、龍が駄目って言うならもうしない」

「言わない。
 でも、心配はする」

ふわり、と、龍星は優しく毬の頭を撫でる。

「毬は男の子になりたい?」

龍星の問いかけに、毬は表情を硬くした。

「それ、今答えなきゃ、駄目?」

「そんなことない。
 もし、毬がお話したくなったら、そのときは教えてくれるかな」

「分かった」

毬は頷いて、ふぅと息を吐いた。


……龍星が居なかったら男の子になりたいんだけどな。
  龍星が居てくれたらそんな風に思わないのに。


言葉に出来ない感情がぐるぐると胸の内を回っていた。