「龍星のことだから、教わらなくても分かるよね?
龍星があの子から手を放しちゃったから、奪おうと思って昨日左大臣家に行ったんだ」
……帝が夜這い?
ありえない。
一般貴族じゃあるまいし。
簡単に、帝が、左大臣家へ?
龍星は奥歯を噛み締めた。
その、僅かの変化も帝は見逃さない。
得意げな、勝者の笑いを浮かべる。
「悔しい?
でも、仮に行かなくても他の誰かが行くんじゃないかな。
簡単に入れるよ、あの屋敷」
「お話はそれだけですか?」
震えそうになる声を押し留めて、極めて冷静に言葉を発する。
「まさか。
その後の、部屋の話がしたくて呼んだんだよ。
夕べのあの人の話、聞きたいでしょ?」
帝の瞳は挑発の光を発している。
普段……特に御所では……、何の感情も発しない龍星の瞳も、今ばかりは強く煌いていた。
龍星があの子から手を放しちゃったから、奪おうと思って昨日左大臣家に行ったんだ」
……帝が夜這い?
ありえない。
一般貴族じゃあるまいし。
簡単に、帝が、左大臣家へ?
龍星は奥歯を噛み締めた。
その、僅かの変化も帝は見逃さない。
得意げな、勝者の笑いを浮かべる。
「悔しい?
でも、仮に行かなくても他の誰かが行くんじゃないかな。
簡単に入れるよ、あの屋敷」
「お話はそれだけですか?」
震えそうになる声を押し留めて、極めて冷静に言葉を発する。
「まさか。
その後の、部屋の話がしたくて呼んだんだよ。
夕べのあの人の話、聞きたいでしょ?」
帝の瞳は挑発の光を発している。
普段……特に御所では……、何の感情も発しない龍星の瞳も、今ばかりは強く煌いていた。


