「いや、いいんじゃよ。待っておったよ。アリアさん。中にどうぞ。客室からの眺めがこれまたいいんじゃ」


お祖父様の言葉に後ろに控えていた男性が私たちを促してくれる。お祖父様の側近の山口さん。仁がお屋敷に入りながら紹介してくれた。


客室に入ると広々とした和室にドンっと一枚板のテーブルが鎮座している。存在感が半端ない……


窓からは、先程見た庭とは少し姿を変えた立派な日本庭園が見える。私は思わず声をもらしていた。


「わぁー!!素敵!」


「ほほっ。気に入ってもらってワシも鼻が高いわ」

お祖父様の声にハッとする。


「そんなに緊張せんで大丈夫じゃよ。仁が、お世話になっているみたいじゃな」

「いっ、いえ、お世話なんて……」

「見合いを進めてもなかなか、うんとは言ってくれなかった仁が心に決めたお嬢さんがいると聞いた時はどんなお嬢さんかと思っておったが…貴女の様な方なら、ワシも大歓迎じゃ。ワシと趣味も合いそうだしな。」


お祖父様は少し仁に似た目元に皺を寄せながら、私に微笑んでくれる。

それを見て緊張が解れていくのがわかる。