『数日前、落とし物拾った?』

『え?落とし物…?』


私はすっかり忘れていた。そんな事もあったなと思い出す。


『あっ!はい。エレベーターで落とし物、拾いました!それが何か?』

『その落とし主から会社に連絡があってね。さっきまで会社にきてたんだけど……』


な、なんだろう……歯切れ悪い話し方…。嫌な予感しかしない…。


『あの!はっきり言ってください!』

『あ~…アリアちゃんが男性を苦手なのは分かってたんだけど、断れなくて………ごめん!』


いやっ!だからぁ~!!なんなんだよっ!ごめんって!


『もぉ~!何がごめんなんですか?』

『その落とし主が、お礼に食事にって…アリアちゃんと…。』

あ~…。そういう事ね……。心がすーーーと、冷たくなっていくのが分かる。


私は昔、これでもよく誘われていた。この容姿だからか男性からは迫られ、女性からは遠目で眺められ、まるで見せ物のようだった。


でも、カイルがいてくれたから私は何とかやってこれたんだ。