家の住所を、伝えると車は静かに動きだした。


「キミ、名前は？」


言っていいものなのか悩んだが、住所まで言ってしまったし、助けてもらったのもあるので素直に答えた。


「瀬尾 アリアです」


「そんなに簡単に名前言っちゃっていいの？」


男の人はクスクス笑いながら、そんな事を言っている。


自分が聞いてきたくせに……

少しムスッとしていると、またクスっと笑って言った。


「ごめん……今の言い方は意地悪だったね」

「いえ……」

「俺は護」

「護さん。……先程はありがとうございました」

「いや…すごく困ってる様に見えて。自分でも、車を停めてまでって思ったんだけど…考えるより先に体が動いていた。……こんなことは初めてだよ」


護さんはそんな事を言いながら照れたようにわらっている。


「え？わざわざ車を停めてくれたんですか？」

「うん…。自分でも驚いたけどね」


護さんに抱いた印象は綺麗な…そう、王子様みたいな…

少し強引で優しい人だと思った。