帰り道。

塾の最寄駅まで一本道を歩きながらみんな今日の感想を言い合ってる。

「今西先生、私達の名前知ってるとかまじきもいよね。」

「ほんとそれ!私と夏希と真優怒られちゃったし。」

「それは私達が話してたから悪いんでしょ?反省しないと。」

「まぁ、怒られたのは3人だけど真優と芽衣の声がでかかっただけで夏希はこいつらに話しかけられたから話さざるを得なかったんだろ?」

「ちょっと、なんで和樹夏希の肩だけ持つのよー!」

「なんでって夏希はお前と違って真面目だし可愛気があるからな。」

「えー、私は?」

「芽衣は真優とつるんでなかったらいい子なのにな。」

「なによ、全部私が悪いみたいなー。」

「お前が悪いんだよ。」

「そんなことより!石谷先生怖すぎたくない?」

いつもケンカを止めてくれるのは芽衣と夏希だ。

二人には感謝しなくちゃね。

「ほんと!無愛想だよね!」

「みんな凍ってたしな。」

「でも、石谷先生ついてこれない者は見捨てるって言ってたけど大丈夫かなぁ。心配になってきちゃった。」

「いや、夏希以前にこいつらの方がやばいから大丈夫だろ。というか夏希社会めちゃめちゃいいじゃないか。」

「そんなことないよ。前の先生分かりにくかったし。」

「夏希がそんなこと言うのめずらしいね?」

芽衣がそう言うと私と和樹も首を縦にふる。

「真優が寝てても注意しないくらいの先生よ?おじいさんで話も遅かったし…」

「まぁ、それは分かるけどな。」

なんて先生の話をしてたらあっという間に分かれるところまで来てしまった。

ここから芽衣は大阪に私と夏希と和樹は京都の端っこの方に帰る。

スーパーコースの校舎は京都の中心部にあるので大阪に住んでいる芽衣には大変な道のりだ。

芽衣はえらいなぁ。

夜9時に塾が終わってから大阪に帰るなんて。

夏希だって近畿トップの私立中学校目指して頑張ってるし。

それに比べて私は……。

何もしてないくせに二人に対する劣等感で押しつぶされそう。

こういう時彼氏がいたら悩みとか聞いてくれるのかな、とふと考えた。

そんなことを言っても私の初恋は幼稚園の年長の時で初めて彼氏ができたのは小1の時だ。

それから今までいたことがない。

去年の夏休みに学校であった合宿で踊ったキャンプファイヤーのフォークダンスでは先生の趣味か、男子が女子を誘ってペアで踊らなければいけないというもので何組かカップルができた。

それも今では一組ぐらいしか残っていない。

やっぱり、小学生だなぁと思う。

とはいえ、私も小1の時の彼氏は自然消滅というか私が悪いんだけど。

小1の時の私は彼氏がどういうものか分かってなくて。

ママが見てたドラマに出てくる彼氏が彼女の言う事を聞いてあげてるのを見て彼氏は何でもしてくれるんだ!って思ってしまったのね?

それで彼氏が欲しくなって「好きです」って言ってみたらまさかのOKで。

あっち側としてもよく知らなかったんだと思うけどとりあえず私の言うことなんでもきいてくれた。

でも、やっぱり耐えられなかったんだろう。

いつしか頼んでもしてくれなくなって私も頼まなくなって自然消滅。

なんというか私最低だなぁ。

それにしても、彼氏欲しいな。

私を全力で愛してくれて支えてくれて頼ってくれるそんな彼氏が。

小5のガキのくせにませすぎだけど、欲しい!

なかなかそう上手くいかないよね。

今日はあと明日提出の宿題やって寝よう。

おやすみ☆