「迎えに来たら、その時は——」 左の薬指をピンと立てるその人は、 私の大好きだった、意地の悪い顔して笑ってた。 涙でかすむ景色の奥で、 大好きな人を乗せた列車が、遠退いてく。 私達はまだ高校生だから、子どもだから。 この状況をどうすることもできない。 だけど。 私達はこれから歳を取って、 大人になっていく。 どうかその時、私の隣にいる人が。 口悪くて毒舌ばっかり吐く、あの人でありますように。 fin.