少女は優介の名を繰り返すと、 「私はサクラ・リーシャーだ」 「サクラ…?」 優介も少女の名を繰り返す。 「そう、日本を象徴する花。サクラだ」 「君のご両親は?」 「国籍を聞いているのならどちらもフランス人だ。なぜサクラなのかと聞かれたらそれは知らん」 「ただ」 少女は続けた。 「母は、なぜか知らないが日本語が得意だった。なぜ日本語を話せるのか聞いた事が一度だけあるが、母は『ナイショ』と言った」