「おじさん、おはよ」


見慣れない家のキッチンで
いつも通り卵焼きを作ろうとしていた。


いつもは卵は3つだが、
今日からは2つ。


コンコン、と角に卵を打ち付ける。


「料理、できるのか」


朝イチの眠そうな目には
昨日の様な冷たい印象はなかった。


「毎日作ってたよ」


卵焼きとウインナーでいい?
にこっと笑ってみた。


「いらん」


にこっと笑った顔がひきつる。


なんでそんなこと言うのかなあ。


ボールに入れた白身と黄身がぐるぐると混ざり合う。



普通、嫌だろう。


昨日出会ったばかりの女子高生が
朝起きたら
勝手に自分の家のキッチンで料理をしている。


気持ち悪すぎて、
ご飯なんて食べれたもんじゃない。





それでも


役に立ちたかった。