こうしている今も頬の感触はなくならない。
どれだけ泣くんだって、そんなことが頭を過ったけど。
俺は涙をそのままに話を続ける。
「俺は自分に自信がない」
「、」
「だから何が本当のことなのか、何が現実か、直視したくなかったっ、」
「……」
「だけど、そんな俺でも、分かることがある」
目の前の彼女は変わらず困惑の表情を浮かべていて。
俺は小さく息を吸った。
駅のアナウンスが、遠くに聞こえる。
「俺は…」
「浅井有希子さんが、好きです。」
その気持ちは嘘じゃないって、胸を張って言える。
これが俺の、伝えたかったこと。
その瞬間、彼女はその漆黒の瞳を見開いた。
これで彼女と話せなくなってもいい。
後悔しない。
伝えた。
俺はやっと、自分の気持ちを伝えた。


