「、“裕樹”…」
「あっれー?名前覚えてくれてる」
その男はあの、マドンナと映画を見た日に会った男だった。
彼女の中学時代の同級生。
委員会が同じだったっていう、お互いを下の名前で呼び合う同級生。
裕樹というその人は、何故だかスキップするような勢いでこちらに向かってきた。
思わず、ひく。
「こんなとこで何してんのー?」
「、ここ、家の近くで…」
「そうなの?俺、高校がこの辺なんだ」
彼はこの近くにある、俺も見覚えがある高校の制服を身に纏っている。
「この前通りかかったら、見たことあるなーって人がいたから。ってか、名前なんていうの?」
「、後藤です」
「後藤くん?よっしゃ、覚えたから!」
なんで俺はこの人と話しているんだろう。
どっちかっていうと、今は会いたくない人の上位に入るんだけど…。
しかも自己紹介なんかしちゃってるし。
近くを通った制服を着た女の子たちが、コンビニのデザート片手にこちらをちらちらと見る。
というか、どう考えても見られているのは裕樹って人なんだけど。
この裕樹っていう人の容姿に、女の子が頬を染める。
(俺がこんなにもかっこよかったら、)
マドンナに振り向いてもらえたんだろうか。


