変わらず彼女と俺の世界は交わらない。

いろんな人と気さくに話せる健人の隣りで、会話をする彼女の横顔を見ていた程度だ。


彼女の話相手が、俺になることはない。


2週間見ていて分かったこと。

彼女は英語が得意らしい。

授業で当てられた時、綺麗な発音を披露していたから。

(ちなみ数学が嫌いだっていうことは健人の会話から知った)


「(軽いストーカーだな、)」


いつ見ても彼女は綺麗で、他の人にはない輝きを放っている。


俺は、日に日に彼女に惹かれていく自分を知っていた。

彼女の姿を一目見るだけで気持ちは高まって、俺の奥底に蓄積されていく。

彼女と同じクラスだということを、こんなにも幸せに思ったことはない。

こんなにも、うれしいと思ったことはない。


でも、その一方で、欲張りな俺がいることも事実で。


どうしても、そんな綺麗な笑顔を見ていると


「(俺にも向けてほしい)」


そんなことを思ってしまう訳で。