「え?」


俺は、自分自身を平凡な人間だと思っている。

後藤翔太っていう名前に、何の面白みもない。


「、あ」


特別勉強が出来るわけでもない。

部活には所属していないし、運動神経も人並み。

何か秀でた才能っていうのも全くない。


人と違うことを挙げてみろって言われたら、食べてもあんまり太らないことぐらい。

ほんとに、それぐらい。


席替えしても窓際の席なんかならないし、委員会を決める時に俺の名前が出ることもない。

授業中に当てられることも滅多にないし、先生に呼び出されることもあんまりない。


ごくごく普通の人間。

言ってて自分で悲しくなるくらい、普通の人間。


俺の見解は間違ってないと思う。


「え?」


でも、今起きたことは普通じゃない。


マドンナと日直だ!って思い上がってたのが駄目だったんだろうか。

やっぱ美人だなーって日誌書いてる姿を見つめてたのがいけなかったんだろうか。

真っ黒だ、って目が合った時に瞳の色を確かめたのがまずかったんだろうか。


どれがいけなかったのかは分からない。

ただこれは、普通じゃない。