好きになんかなるもんか。



「あの、私…習い事で…。
お願い、藤原くん代わりに行ってくれないかな?」

うるうるで上目遣いで頼む。
知ってるよ
男なんてこれでイチコロなんだから。

でも、しばらく待っても藤原は
うんともすんとも言わない

「じゃ…じゃあ、お願いねっ」

って走り去ろうとしたのに

作戦失敗

腕をパシッと掴まれて

「こんな時間に1人で帰らすわけにはいきません。
不審者も出ているようですし。」

初めて聞いた藤原の声。

透き通るような低い声で
ちょっとだけドキドキしてしまった