わたしとハルは、電車で1時間程掛かる高校に入学したため、ハルの髪が今のような、黒染め特有の墨で塗り潰したような深い黒ではなく、本当は透き通るような金髪である事。そして、瞳は何もかもを透かしてしまうような、茶色であった事は、この学校でわたし以外誰も知らないと思う。多分。


態々、どうしてこの高校に入りたかったかと言われれば、どうにも考えあぐねてしまうけれど、

わたしが小学生だった頃、ハルとこの高校のある街に出掛けた時に出会った高校生が、余りにも爽やかで明るく見えて、理想の高校生とはこれだと思ってしまったのだ。

その高校生の通っていた所がこの高校であり。
中学に上がってから、オープンスクールの時は、強制的にハルを連れて、この学校に足繁く通う内に、骨の髄まで学校に惚れてしまったのだ。



ハルもどうやらそうだったようで、気づいた時には、二人して進路希望にこの学校、銘央(めいおう)高校と書くようになっていた。


怒涛の受験勉強、入試を経て、
私たちは晴れてこの高校に合格したわけで。


そして、1年の歳月が過ぎ、あっという間に高校二年生になっていた。
末恐ろしや。


この高校に入った事は満足しているけれど、そうだからといってわたしが憧れている理想の生活を遅れているかといったら、それはまた別問題である。