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10年あれば、人間なんてすっかり変わってしまうような気はするけれど、本質的なものは全く変わらないだろう。


暇だったので、眺めていたアルバムをパタンと閉じて、ふとそんな事を考えた。

アルバムにはわたしの隣に、いつもハルがいる。
それは高校生になった今も継続中である。



わたしは10年経っても、ほとんど変わっていない。
変わったところといえば、少しだけ臆病になった。…のかもしれない。


社会を知って、周りを意識するようになって、少し臆病になったかもしれない。


けれど、見た目はそのまま成長していって、美人になったなんて事は一切ない。



けれど、ハルは…変わったかもしれない。

人間、本質なところは変わらない、と思う。
ハルも同様に、昔と変わらず優しいままだ。

けれど、見た目はガラリと変わった。


小学生の時に、金髪だった髪を、真っ黒に染めた。
綺麗な溶けてしまいそうな儚い綺麗な色は、真っ黒くろな墨色に変化した。


そして、中学1年の時から、薄い茶色だった瞳も、カラーコンタクトで真っ黒に変えてしまった。


ハルは変わってしまったというよりは、身体的な特徴を全く消してしまったという方が正しいのかもしれない。


中学にかけて、段々オシャレで格好よくなっていく皆とは、逆流するようにハルは静かに、自分を消していった。