・
***
「あー、ぎもぢいいいい‥‥。
ソコ!ソコだよ!あッ‥‥あぁッ♥」
二つの商品で揺らぐリーダー。
家電量販店のマッサージ機コーナー。
現在癒され中のリーダー。
マッサージチェアに座って眼鏡を揺らしながら、身をマッサージ機に委ねている。
って、結局、自分で選んだじゃん。
彼方此方、お洒落な店を選んだのに、結局来たのはリーダー提案の家電量販店。
「まっ、あッ、ハルハルッ、♥」
「止めろ、その声、こっちがハズイ。」
マッサージ機にリーダーは揺られながら言った。
“この子に決めたー‥‥!!!”
なんと。リーダーは。
5万もするマッサージチェアを購入。
後日お届けされるみたいだけど。
俺居なくても変わんなかったんじゃね?
って思う。
家電量販店を後にし、外に出ると。
今日一日中プレゼントを探していたのか。
あっという間に日が暮れ7時。
「今日のお礼に俺っち奢りで飲み行こうよ!」
「リーダー、運転して来たよね?」
“そうだけど、後日車取り行けばいい事だし。
知り合いの所だから大丈夫だってー。”
その大丈夫に根拠は無かったけど。
取り敢えず、向かった居酒屋。
「あれ?‥‥あれ、俊だよね?」
向かう途中。
交差点で止まった車の中。
ある男女に目を止める。
変装しているとは云えど、メンバーだからわかる、その変装。
ラフな格好をした俊がまたあの日に見た女の人と一緒に歩いていて。
とても会話に弾んでいる様子。
「噂で聞いたんだけど、本当だったんだ‥‥。」
噂?
「悠人知らない?
少し俊がある女の人に気持ちが向いてきつつあるらしいよ。
どうやら純ちゃんと、大喧嘩したらしく。
その溝が埋められない俊の気持ちが、ね。
浮ついてきてる。
俺達も一応アイドルだから、行動は考えなきゃいけないんだろうね‥‥。」
青信号。
反応するように動き始めた車の車窓に。
ポトリ、一滴雨が落ちてきた。
目で追いかけた男女は無事に渡り切り、また寄り添って歩き始めた。
・
雨に濡れ出す東京の街をバックに。
悲しそうな横顔を見せるリーダー。
多分これが、亀裂の音を立てる瞬間だったのかもしれない。
罪悪感で押し潰れる1人。
複雑な現場に悲しみを隠しきれない1人。
気持ちが浮つく1人。
その気持ちを陰で気づいている1人。
状況未だつかめない1人。
亀裂が、入った。
"ハル、呑み行こっか!”とリーダーから誘われて。
車を駐車場に止めて入った飲み屋街。
変装で使っているマスク越しでも香る煙たさは、喉を傷めてしまいそうだ。
“ここ!ここ!”
「さっき、言ってたとこだよ!
全室個室せいだから俺達でもok★」
変装越しからニカッとした笑顔が見えた。
その笑顔を信用して、潜ったのれんの先。
リーダーの言う通り、全室個室だった。
リーダーは、知り合いの人らしき人に無邪気に“2人!”というと、
奥の席へと誘導された。
・
「はぁっーーー!!呑もうぜ呑もうぜ!!」
俺は来た店員さんに生ビールを頼む。
適当に惣菜を頼むと、眼鏡や帽子を外して、ため息を吐いた。
未だに焼き付いてる、あの男女。
俺は思い切って、リーダーに聞いてみた。
「リーダーさ、さっきの見て、どう思った?」
「さっき…?さっき?って何かあったっけ?」
あぁ、もうこれだから。
「俊の。」
俺が“俊”と声に出せば、リーダーの表情は一瞬にして歪んだ。
「俺っちは…俺はね…あれは何かの間違えだと信じてるよ…。」
「リーダー……。」
“だって”とリーダーは初めて声を荒げた。
「俊ちゃん…結婚してた時…凄い、幸せそうな表情、浮かべてたじゃん…。
俺、そんなの信じたくない!信じたくないよ!」
「リーダー…!」
初めてのその姿に俺も驚いた。
はっ、と我に返ったように、リーダーも静かになる。
相葉さんは誰よりもそのような浮気や不倫に関しては嫌な思いをしてきた。
彼女に何度も浮気されてきているから、免疫は全くなくて。
浮気や不倫と言ったたぐいの話になると顔色が変わる。
その純粋さに、俺も改めて我に帰った。
————どうして、人妻に恋をしてるんだ。
そんなんじゃ、メンバーが壊れてしまうにきまってる…。
なのになぜ…俺は…!—————
そう、頭を抱えていたら、LINEの着信音がした。
「リーダーのじゃ…。」
「……いや、俺っちじゃないよ。」
じゃあ、俺か――――、そう思い、鞄のポケットからスマホを取り出すと俺は目を疑った。
・
《着信:皐月》
嘘だろ?
***
「あー、ぎもぢいいいい‥‥。
ソコ!ソコだよ!あッ‥‥あぁッ♥」
二つの商品で揺らぐリーダー。
家電量販店のマッサージ機コーナー。
現在癒され中のリーダー。
マッサージチェアに座って眼鏡を揺らしながら、身をマッサージ機に委ねている。
って、結局、自分で選んだじゃん。
彼方此方、お洒落な店を選んだのに、結局来たのはリーダー提案の家電量販店。
「まっ、あッ、ハルハルッ、♥」
「止めろ、その声、こっちがハズイ。」
マッサージ機にリーダーは揺られながら言った。
“この子に決めたー‥‥!!!”
なんと。リーダーは。
5万もするマッサージチェアを購入。
後日お届けされるみたいだけど。
俺居なくても変わんなかったんじゃね?
って思う。
家電量販店を後にし、外に出ると。
今日一日中プレゼントを探していたのか。
あっという間に日が暮れ7時。
「今日のお礼に俺っち奢りで飲み行こうよ!」
「リーダー、運転して来たよね?」
“そうだけど、後日車取り行けばいい事だし。
知り合いの所だから大丈夫だってー。”
その大丈夫に根拠は無かったけど。
取り敢えず、向かった居酒屋。
「あれ?‥‥あれ、俊だよね?」
向かう途中。
交差点で止まった車の中。
ある男女に目を止める。
変装しているとは云えど、メンバーだからわかる、その変装。
ラフな格好をした俊がまたあの日に見た女の人と一緒に歩いていて。
とても会話に弾んでいる様子。
「噂で聞いたんだけど、本当だったんだ‥‥。」
噂?
「悠人知らない?
少し俊がある女の人に気持ちが向いてきつつあるらしいよ。
どうやら純ちゃんと、大喧嘩したらしく。
その溝が埋められない俊の気持ちが、ね。
浮ついてきてる。
俺達も一応アイドルだから、行動は考えなきゃいけないんだろうね‥‥。」
青信号。
反応するように動き始めた車の車窓に。
ポトリ、一滴雨が落ちてきた。
目で追いかけた男女は無事に渡り切り、また寄り添って歩き始めた。
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雨に濡れ出す東京の街をバックに。
悲しそうな横顔を見せるリーダー。
多分これが、亀裂の音を立てる瞬間だったのかもしれない。
罪悪感で押し潰れる1人。
複雑な現場に悲しみを隠しきれない1人。
気持ちが浮つく1人。
その気持ちを陰で気づいている1人。
状況未だつかめない1人。
亀裂が、入った。
"ハル、呑み行こっか!”とリーダーから誘われて。
車を駐車場に止めて入った飲み屋街。
変装で使っているマスク越しでも香る煙たさは、喉を傷めてしまいそうだ。
“ここ!ここ!”
「さっき、言ってたとこだよ!
全室個室せいだから俺達でもok★」
変装越しからニカッとした笑顔が見えた。
その笑顔を信用して、潜ったのれんの先。
リーダーの言う通り、全室個室だった。
リーダーは、知り合いの人らしき人に無邪気に“2人!”というと、
奥の席へと誘導された。
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「はぁっーーー!!呑もうぜ呑もうぜ!!」
俺は来た店員さんに生ビールを頼む。
適当に惣菜を頼むと、眼鏡や帽子を外して、ため息を吐いた。
未だに焼き付いてる、あの男女。
俺は思い切って、リーダーに聞いてみた。
「リーダーさ、さっきの見て、どう思った?」
「さっき…?さっき?って何かあったっけ?」
あぁ、もうこれだから。
「俊の。」
俺が“俊”と声に出せば、リーダーの表情は一瞬にして歪んだ。
「俺っちは…俺はね…あれは何かの間違えだと信じてるよ…。」
「リーダー……。」
“だって”とリーダーは初めて声を荒げた。
「俊ちゃん…結婚してた時…凄い、幸せそうな表情、浮かべてたじゃん…。
俺、そんなの信じたくない!信じたくないよ!」
「リーダー…!」
初めてのその姿に俺も驚いた。
はっ、と我に返ったように、リーダーも静かになる。
相葉さんは誰よりもそのような浮気や不倫に関しては嫌な思いをしてきた。
彼女に何度も浮気されてきているから、免疫は全くなくて。
浮気や不倫と言ったたぐいの話になると顔色が変わる。
その純粋さに、俺も改めて我に帰った。
————どうして、人妻に恋をしてるんだ。
そんなんじゃ、メンバーが壊れてしまうにきまってる…。
なのになぜ…俺は…!—————
そう、頭を抱えていたら、LINEの着信音がした。
「リーダーのじゃ…。」
「……いや、俺っちじゃないよ。」
じゃあ、俺か――――、そう思い、鞄のポケットからスマホを取り出すと俺は目を疑った。
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《着信:皐月》
嘘だろ?

