鞄は持ってるけど、まだマフラーも巻いてないし靴も履き替えていない。
「どしたの?斗真。」
「ど、どうしたって……なんで、2人なんだよ。」
斗真はちょっと結城君を見てからそう言った。
「はぁ、はぁ」って肩で息をして、ここまで慌てて走ってきたことが分かった。
「そんなに1人で帰りたくなかったの?待ってるよ、靴履き替えて来なよ。」
「そうじゃ、なくて!」
斗真が私の腕を掴んだ。
何よ、何なの
何が言いたいの?
「何、じゃ何なの?」
「だ、男子と2人で帰るとか…」
「そんなの、私達だって2人で帰ったりするじゃん。
それはいいのに結城君はダメなの?」
結城君を待たせてる
斗真の意味不明な行動に付き合ってる暇はないのよ
「そう…だけど……」
斗真が悔しそうな顔して私の腕を離した。
「あ~、別にいいよ。俺1人で帰るし。」
振り向くと結城君は私達を見て少し困ったような顔をしていた。


