じゃあ、初キスで


「……今更だけど、キスしていいですよね?」




「あはは」




なんで急に敬語なの



可笑しくなって笑うと真剣だった斗真もちょっと笑った。




ちょっと前は真剣な斗真はいつもの斗真じゃない感じで、ちょっと苦手だった。




でも今は、どんな斗真も好きだって思う。




「……じゃあ、初キス?で。」




「うん。初キスで。」




私は照れを必死に隠しながら言ったのに斗真は即答で



斗真の顔が近づいてきたと思ったら、それは本当に一瞬




初めてのキスは思ったより温かくて、柔らかかった。




「ごめん、も一回。」




斗真はそう言うと私が頷く暇もない間に2度目のキスをした。




何度も何度も重ねてキスするから、もう数えきれなくなって私はすぐに諦めることになった。




でも、初めてのキスは絶対忘れたりしない。




「今度から何かあったらまずキスしよ。」




味をしめた斗真がニカッと笑いながらそう言った。





「記念日とかもちろんだけど喧嘩して仲直りするときとか、帰りバイバイするときとか。

朝起きたときとか、何かありがとうって言いたいときとか、おやすみって言うときとか……」




「ちょ、ちょっと待って。途中から一緒に住んじゃってない!?」




「……ちょっと気が早かったかな。」




それでも斗真は全く悪びれる様子もなく、無邪気に笑った。