「……その、理央からも、『好き』って……」
……そんな恥ずかしいこと、言えないけど
でも……
「…………す、き。斗真が、好き。」
やっと声を振り絞ってそう言えば、斗真の嬉しそうな小さな笑い声が耳元で聞こえた。
「……うん。ありがと。」
純粋にお礼を言われて私はきっと茹でられたタコ状態
「やべ、離したくねぇ。」
「……離さなくて、いいよ。」
「いや、それがそうもいかないんだわ。キス、したいし。」
「キス」って言って葵ちゃんのことを思い出したのか、斗真は小さく「ごめん」と謝った。
「……初めては、やっぱり、理央が良かった。」
小さな小さな斗真の泣きそうな声に、私は思わず背中をポンポンした。
「斗真初めてだったんだ。」
「……理央は初めてじゃないんだ?誰、今すぐそいつ殺しに行きたい。」
耳元で物騒なこと言わないでよ
でもそれが斗真の私への気持ちだって実感して、嬉しいやら怖いやら複雑な気持ち
「斗真が初めて、だよ。誰とも付き合ったことなんてないもん。」
先輩とか同級生とか、今まで何人か好きになった人はいたけど付き合うとかは一度もなかった。
今思えばそれは好きと言うより憧れ
「じゃあ、俺が初めて理央にキスする。なにそれ、めっちゃ嬉しい。」
きっと犬だったら尻尾振ってるってぐらい、斗真の言葉には喜びが滲み出てて
斗真はやっと私を離すと真面目な顔で覗き込んだ。


