でも、多分それだけじゃないんだ。
私がそれを自覚したのは、つい最近の話
今も、下を向くと溢れた涙がこぼれ落ちそうで、私は慌てて顔を上げた。
……私、斗真のこと好きなんだ
斗真は友達が多いから女友達なんかいっぱいいるのに
それでも葵ちゃんと並んでる斗真を見て、私は胸の痛みを誤魔化せなかった。
「そこは私の居場所だよ!」って、葵ちゃんと斗真の間に割って入りたい気持ちすらあった。
こんなやつ、幼なじみとしても友達としても最低なんだ。
そんなこと分かってるけど、それでも涙が止まらなかった。
我慢できなくて目元を拭った時、私は驚いて涙が一瞬で引っ込むのを感じた。
葵ちゃんが、目の前にいた
目が真っ赤になってて、口は怒ったようにきゅってなってる。
「……斗真のこと、大事にする?」
「え?」
斗真?大事にってどういうこと?
「……斗真を大事にしなかったら、私諦めないから。」
葵ちゃんはそれだけ言うと人混みの中に入って行ってしまった。


