よくは見えなかった。



なんせ人混みの向こうなんだし、はっきり2人だって決まったわけでもないんだけど



それでも2人が何をしてるのかは分かった。






キス、してた……






私に分かったのはそれだけ




なんだ



もうそんな関係なんだ



それなら、斗真のやつ教えてくれても良かったじゃない



言いふらしたりしないのに、私ってそんな信用ないのかな




そう思った時、2人はすぐに離れた。




表情とかは見えなかったけど、なんかロマンチックな雰囲気っていうよりはただ立ち尽くしてる、みたいな感じ




……斗真、もうちょっと上手くやりなさいよ




余計大きくなったモヤモヤと胸の痛みを感じながらも私は冷静にそんなことを思っていた。






なんだ、そっか





彼女ができたなら、私は斗真から身を引かないといけない



いくら幼なじみだからってくっついてちゃいけない




いや、そりゃ今までくっついてたわけではなかったけど



斗真は男子の中では1番仲が良くて、というよりもはや家族で




そんな関係が終わっちゃうのは正直悲しかった。