じゃあ、初キスで


理央はそれでも周りに笑って見せて、俺はちょっと心配になって理央のところに行った。




「どうした、風邪?」




「ん、そうみたい。寝てたら治るでしょ。」




理央はまた笑うとみんなに「ごめん!」って言って鞄を持った。




「冬休み中絶対遊ぼーね!」




「もちろん!」





俺も心配になって理央について行こうとすると、急に後ろから誰かに腕を掴まれて立ち止まった。





「どうしたの?斗真。」





それは仲がいい内の1人、葵





葵は2年になってから仲良くなった1人で、確か理央とはそんなに話したことがないはず




理央も友達は多い方だから、葵みたいな存在は珍しいかもしれない。




「……いや、別に。」




理央はもう教室を出てしまっていて、今から追いかけてもなぁとか考える




だいたいあいつは、俺のことただの幼なじみとかしか思ってないし




俺が心配して一緒に帰るとか言ったら、きっと「何言ってんの!」って笑い飛ばすと思う




「行こ。カラオケ、何歌う?」




葵は女子ではサバサバしてる方で、全然媚び売ったりはしない。



理央と仲良くなれば、きっといい友達になれると思うのになぁ




「斗真、葵!行くよー!」




理央のことが気になったけど、後で家に寄ってみるか



俺はそう思って、みんなと一緒に教室を出た。