「…大丈夫だから。」




「ん?何が?」




「彼女とか絶対作らないし。だから、来て。」




また、斗真の顔が真面目な表情に変わった。



じっと私を見て、視線を離さない。




「彼女とか、作らないし。」




「もー2回も言わなくていいから。なんでよ、斗真モテるのに。」




「…モテても好きな人に振り向いてもらえなかったら意味ないだろ。」




「それもそうか。」




それにしても、もったいないけど




斗真が彼女作れば、今日みたいにしつこく「付き合わないの?」って言われることもないのに




でもそんなこと言えばまた怒りそうだから黙っとこ



少し前を歩いていた斗真が振り返った。




「おい、早く来いよ。」




「うん。」




私が追いつくと、斗真は少し笑った。




「なんか甘いもの食べて帰ろーぜ。クレープとか?」




「斗真の奢りね。前漫画貸してあげたでしょ。」




「ええ~」って変な声をだした斗真に私は笑ってしまった。





この幼なじみって関係が、私には心地いい




斗真は絶対ないって言ってたけど、もし彼女ができたら私達は今まで通り仲良くは出来ないよね




それを考えるとまた寂しい気持ちになった。




ずっと、このままっていうのはありえないんだろうな




この寂しいって気持ちはただの家族愛みたいなものだったんだって、この時の私は思ってたんだ。