君の背中はずっと遠くて。

｢言い訳、苦しいよ。あと敬語｣
｢ごめん･･････首やってしまったみたい｣
｢ふふ｣
｢名前ー･･･｣
｢あ、そだね。私は田中 悠里。C組だよ｣
｢よろしく｣
悠里は爽やかな笑顔を浮かべ、頷いた。
こんなに人の顔をよく見たことは無かったと思う。
悠里は整った顔立ちで、ベリーショートの髪は彼女にとても似合っていた。
ラケット持ってる･･･テニス部かな。きっと男女関係なくモテる、そういう子なんだろう。

｢ひなちんはさ｣
いきなり話しかけられて、肩がビクンと揺れる。
何時になっても慣れない。
｢うん？｣
｢あー、いきなりごめんね｣
話しかけられ、驚いてしまった私に気づいたのか、少し気を使わせちゃったようだ。それにしてもどうして私なんか･･･？
あぁ、一人で歩いてるからか。悠里は優しいんだ･･･いいなぁ。

｢聞いてる？｣
｢あ、うん！聞いてるよ｣
正直、緊張して死にそう。
悠里は、こほん、と小さく咳払いをして言った。
｢ひなちんはさ、好きな人とかいんの？｣
｢ふぇ･･･？｣