最悪なクリスマスにしてしまったと思ってた。

でもね、今はすごく幸せに思うよ。

自然と繋いだ手に力を入れた。隣にいる彼も握り返してくる。それが嬉しくって。



「なに、笑ってるんだよ」

「うん。今日は幸せだったなと思ってさ」



柊の家を目指しながらあたしはそう言う。

柊のおかげでこんなクリスマスもありだなって思えたんだもん。



「そっか。よかった」


ふわっと笑う彼に少しドキッとして、同じように笑い返す。



「……あ、着いちゃったね」

「おー、ほんとだ」



家の前で足を止めた。
急に寂しさが込み上がる。それをグッと押し込んであたしは一歩下がった。


「じゃーね!」

「…あ、待って」



そう言って一瞬触れた唇。思わず目を見開いた。
そして、言ったんだ。イジワルな顔をして。耳元で。




「来年は覚悟しといてな。……メリークリスマス」



あたしは耳を押さえながら、もう閉められた玄関を見つめ続けた。





𝐹𝑖𝑛.