「謝ることないじゃん」
「だ、って……」
「まぁ、大事な日に風邪引くのはアレだけど」
うっ。……痛いとこ突かれた。一番気にしてることだよ。
「ご、ごめんなさい」
「ん。許す」
ベッドに腰をかけている柊があたしの頭を撫でて言う。
優しく笑うから、心が痛んだ。
やっぱり、申し訳ない。
せっかく楽しみにしてたのに。
「ねぇ、柊」
「ん?」
「今日楽しみにしてた?」
うわ、超ド直球に聞いちゃった。でも後悔はしない。はっきりと聞きたい。
「してたよ」
彼もド直球ち返答するから、また泣きそうになった。
もう今日のあたし涙腺おかしいな。熱のせいだよね。
「あたしもね、楽しみにしてたんだよ。昨日電話する前からもう舞い上がっちゃってね。服とかいろいろ……」
視線をハンガーにかかってある今日のために選んだ服を見た。
彼もそれを見る。
「かわいいじゃん」
「ん。……でも馬鹿だよね~髪乾かさずに寝ちゃったんだもん」
空笑いをした。
柊のために苦手な予約だって、服選びだって、デートプランだって……。
全て喜んでもらおうとしてたのに。
それを台無しにしちゃった。



