「ほら、口開けて」
「え」
「クリスマスデート無くなった罰だ」
言ったと同時に、スプーンが勢いよく口の中に入り込んできた。
てか、多すぎ!
案の定、お粥は冷えきっていた。
でも、やっぱり。
「……おいしい」
そう言葉を漏らした。
目の前の彼は得意気に満足そうに笑っている。
だからあたしも笑った。
だって、可愛いんだもん。
「はい、次ー」
「え、まだやるの!?」
「だって罰だもん」
なにそれ。なに『だもん』って。
今日の柊ほんとどうしたの!?
あたしの風邪移った……?
そっと右手を伸ばして彼のおでこに触れてみた。
……熱は、ないね。
うん、よかった。
ほっとして手をもとに戻した。
「なにしてんの」
「ん?熱あるか確認しただけ」
「なにそれ。あるわけないじゃん」
「だって今日の柊、いつもと違うから」
そう言うと彼はしばらく黙り込んで、トレーを近くの棚に置いた。



