「……あ、起きた」
「うへ?!」
聞き慣れた声にすぐ反応させたあたしは、確実にバカな面をしていると思う。
でも今はそんなのどうだっていい。
だって。
「え、なんでいるの?」
「え、なんでって……居ちゃ悪い?」
そう言いながら近付く柊。その手には湯気が立ちのぼった食器があった。
あたしの視線に気付いたのか、クールな顔に少し口角をあげた彼が言った。
「食べる?」
「あ、うん。……作ってくれたの?」
「まーね」
そう言うと柊は得意げに笑った。
なに、この笑顔っ。眩しすぎるんだけど!?
レアっちゃレアだ。この笑顔は。
嬉しくてつい頬を緩ませる。
「ありがと。……いただきま~」
『す』といい終える前に彼にストップをかけられた。
「あ、あの。食べられないんだけど……」
その理由はあたしのおでこに柊の指がつき当てられてるから。
スプーンと口の距離が大きく開かれてしまってる上に、柊の指圧が強すぎて近付こうとしても近付けない。
「ねー柊、手。離してよ」
「え、やだ」
なんだって!?『やだ』!?
なんで、どうして!
てか、上から見下ろされてるけど。可愛く見えてしまうのはなぜ?!
あ、そっか!熱のせいだ。うんうん。納得。



