ハッピーエンドじゃ終われない

お葬式終了後私と京華が会場の外へ出ると、私たちと同じ年齢くらいの女性二人組が目にはいる。
あれはもしかしてと近づいてみると、左側の女性が私に気づき目が合う。

｢あれ…もしかして香苗と京華？｣

彼女は驚いたような顔をして私たちの名前を呼ぶ。

｢久しぶり、睦｣

目が合った後ろで髪を１つに束ねている茶髪の女性は、思ったとおりの人物だった。

奥山睦(おくやまむつみ)。
私たちの中学時代の同級生。
彼女は彩女と一番仲が良く、常に行動を共にしていた。
確か彩女と同じ高校に進学したはずだったけれど、大学はどうなのだろう。

｢香苗は昔と全然変わってないから、すぐ誰かわかったよ｣

｢それ京華にも言われたよ…私そんなに変わってないのかな｣

中学時代と変わっていないって、見た目が子供っぽいままってことだよね。
その言葉が胸にグサッと刺さり、私は落ち込む。

｢わっ、香苗と京華じゃん！久しぶり～！｣

睦の右にいた肩ほどの髪にパーマを当てている女性は、振り向くと私を見て笑顔で嬉しそうに手を振る。

伊藤(いとう)みちる。
彼女も私たちの中学時代の同級生。
少しぶりっこなところがあり、目立ちたがりだった。
彼女は誰とも同じ高校に進まなかった。

｢みちるも久しぶり。二人は一緒にここへ来たの？｣

私はみちるに尋ねる。

｢睦とは待ち合わせをしていたわけじゃないけど、電車を降りたときにばったり会ったから一緒に来たの｣

｢そうだったのね｣

｢このあと近くのカフェに行って話そうか。みんな予定大丈夫よね？｣

睦は尋ねる。
そして全員このあと予定がないとのことで、近くのカフェに移動することになった。

｢じゃあ行こうか｣

睦が先陣を切り、私たちはそれに続く。
お葬式後だと思えないほど、全員朗らかに笑っていた。