ハッピーエンドじゃ終われない

私がお葬式の会場に着いたのは、定刻の10分前だった。
ぎりぎりになっちゃったけど、大丈夫かな？

私は受付でお香典を渡し、芳名帳に記帳する。

そして会場に足を踏み入れると、あちこちからすすり泣く声が聞こえた。
会場の一番前の真ん中には、彩女の笑顔の写真が飾られている。
中学生の頃よりも大人っぽくなった彼女は、髪は長くて巻いてあり、化粧が濃い印象を受けた。

本当に、彩女は亡くなったんだ。

会場に着いてから初めてその実感が湧く。
まだ20歳だったのに。
こんなにも早く亡くなるだなんて。

｢香苗｣

私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
それは懐かしい声で、胸がとくんと高鳴る。

｢京華｣

後ろのほうに座っていた京華は私に気づき、声をかけてくれたようだ。
久しぶりにあった彼女は黒髪のショートカットで、昔と変わらずクールビューティーな印象を受ける。

｢隣座る？｣

｢ありがとう｣

私は彼女の右隣へ腰を下ろし、会場を見渡した。
お葬式には沢山の人が出席している。
彩女の大学の友人らしき人が私の前の席で涙を流していて、その隣の人が慰めている。