ーーーハァ、ハァ、ハァ、ハァ…

薄暗い道を、息を切らしながら走り続ける。
どこまで走っても終わりがない。

疲れた。
休みたい。
でも足を止めるわけにはいかない。
だから私は重い足で地面を蹴り、走り続ける。

どれだけ走っても、”彼女”は追いかけてくる。
疲れている気配も見えない。

足を止めれば私は”彼女”に殺される。
だから私は逃げるしかない。

誰か…誰か助けて!

声を絞り出そうとしても、恐怖でのどに言葉が引っ掛かり出すことができない。
私と彼女の距離は時間が経つほど近づいていく。

もっとスピードをあげなきゃ…!

そう思った瞬間、私は何かにつまずいて地面に倒れこむ。

うっ…

打った頭をかばいながら起きあがると、後ろから”彼女”の気配を感じる。

あ…

目の前には鈍色に光る包丁を振りかぶる彼女の姿があった。

殺される…!

包丁は迷いなく、私の上にふりおろされたーーーーー