みちるの死因は、川に落ちての溺死だった。
川の近くは足場が悪く、警察は足を滑らせたのだろうという見解で、事故と断定した。

私はみちるが亡くなったと聞いたとき、その場に崩れ落ちしばらく動けなかった。

私がもう一度電話をしていたら、みちるを助けられたかもしれないのに。
また私は、友達を見捨ててしまった。
何てことをしたのだろう。




「ちょっと香苗、顔色悪いよ大丈夫?」

サークルの合唱曲の練習中、右隣に立っている美織が小さな声で私に話しかける。

「あー…うん、ありがとう大丈夫…」

「無理しちゃ駄目よ。一緒に保健室行こうか?」

「ううん、大丈夫」

私は無理矢理笑顔を作って返す。

「かなり体調悪そうだし、練習抜けようよ。…あの、ごめんなさい先輩!香苗体調悪そうなので、保健室連れていきます!」

美織はメンバー全員に聞こえるように、指揮をしている先輩にそう言う。

「ちょっと美織…」

「さあ、行こ!」

全員が私たちに注目する中、私は美織に連れられて練習部屋を出る。
そんなに私、顔色良くないのかな。

「ごめん美織」

「ううん、全然いいよ!それより最近の香苗、全然元気ないじゃん。何かあった?」

美織の言葉に、私はドキッとする。

「そんなことないよ」

「またそれ?」