『………ふふ』

不気味な笑い声。
この声はみちるじゃない。

背筋がゾッと凍るような恐怖を覚える。

「だ…誰…?」

ーーープツッ……ツーツーツー…

みちるではない”誰か”に話しかけた瞬間、電話はプツリと途切れた。
私は思わず手を滑らせ、携帯が床に大きな音を立てて転げ落ちる。

今の声は絶対みちるじゃない。
一瞬だったし声も小さかったけど、それだけは確実に言える。
女の声だった。
そしてどこかで耳にしたことのある声。

みちるに何かあったのかもしれない。
もしかしてもう殺されて…?

そんなことを考え、思わず身体がぶるっと震える。

まさか本当に…弥生が…?

みちるの安否を確かめたいのに、怖くて電話をかけられない。

”………ふふ”

あの声が何度もフラッシュバックされ、震えが止まらない。
怖い。
みちる…っ!








その晩。
私は電話もかけ直せず、なにもすることができなかった。
そして再び、来てほしくなかった訃報が私のもとへ届いた。