その本棚の中の一冊の本を取り出しソファーに座った。君はその本を不思議そうに両面を見た後、鍵がかかってる事に気付き僕に手渡した。
この本の中身はどんな内容なのか、どんな事が描かれているのか君は僕を見つめてきた。



「この本は…まだ教えられないんだ
ごめん…」



そう伝えるのが精一杯だった。
まだこの中身を知られるのはもう少し時間が必要で未完成で不十分だから尚更、君にはまだ見せたくはなかった。君を信用してないとか嫌いだからとかではなく、ただ僕自身が臆病で不十分なだけ、ただそれだけだった。



僕はまた同じ場所へ本を戻し君の隣に座った
君は頷きながら僕が入れた温かいコーヒーを見つめながらゆっくりと口を開いた。



「ねぇ…S私さ暫くここにいてもいいかな…?」


と俯きながら話しコーヒーを持つ両手が震えていた。僕はその手を包みながら黙って頷いた。
君はコーヒーを飲み干してもずっとその中身を見つめていた、僕は君の視界に入りたかったのだろう。