さがしものが見つからない

「っうえ・・・砂まみれ」

「ホントだよ〜、最悪」

綱引きの練習が終わると、私達の機嫌はすこぶる悪くなった。

頭が割れそうなくらいの爆音の声援。
勝負がついた途端に離される綱の勢いで転がった体は砂まみれ。
おまけに、水道水じゃ落としきれないジャージの砂埃。
叩いて徐々に落としても、手についた砂を洗い流しても、ラチがあかない。

結局、洗えるところだけ洗ってあとは諦めた。

「あー、イライラする」

「これがあと1週間続くんだもんね」

「・・・めんど」

ジャージを着替える放課後になると、私達はまっすぐ家に帰宅。
いつもより早いうちにシャワーを浴びて、スマホ片手にベッドにダイブ。

携帯小説のサイトとアプリを併用しながら、掲載された作品を読み漁る。

「これといって面白いのないな」

一通り見て飽きると、部屋に備え付けられたカラーボックスに目を向ける。
確か、まだ読んでない文庫と漫画があったような・・・気がしないでもない。

「まぁ、いいや。寝よ」

イヤホンを耳に挿して、音楽アプリを起動する。
曲を選択して、ベッドの上に画面を閉じたスマホを放る。
寝返りを打って仰向けになると、目を伏せる。

すると、カリカリと部屋の扉を引っ掻く居候がやって来た。
片方のイヤホンを外し、ベッドから離れ扉を開ける。

そろりと入って来たのは、我が家のワガママお嬢様。
鯖トラの綺麗な毛並みで我が物顔で歩く背中に苦笑い。

「ねぇ、私、これから寝るんだけど」

ワガママお嬢様はちらりとこちらを振り返るが、すぐにふいっと顔を背けベッドに飛び乗った。

そして、ベッドの真ん中を陣取り、くるりと丸くなる。

「今日はそこで寝るの?」

当たり前でしょ?
と、でも言わんばかりにこちらにと一瞥して、優雅に毛繕いをし始めたお嬢様。

「可愛くない」

でも、そこが好き。
私は密かに溜息をついて、その隣に寝転ぶ。
すると、待ってましたとばかりにその背中にお嬢様は乗りかかった。

そして、くるりと丸くなりゴロゴロと喉を鳴らす。

「やっぱりそうきたか」

お嬢様は、ご機嫌が良さそう。
そのうち、寝返りして落っこちるくせに、その度にこうして乗っかってくる。
必ずうつ伏せの時に。

「好きだよね、これ」

普段は滅多に甘えないお嬢様のデレのお出ましだ。